ゴロゴロ転がり日々行進

気だるい社畜の雑記。

教授の板書が読めない

 

講義中ふと前の机を見たら、隅っこをクモが這ってた。

階段教室の長机、グレーの板の上をチュチュチュチュチュと歩いており。

そいつが出てきたり板の裏に引っ込んだりする。

 

 

私はそもそも虫とかクモとかの類を許されざる節足動物だと考えている人間なので(許されているもの:カニ・エビ等)、そういったものたちを手にのせたりはできないんだけど、

遠目に歩くのを眺めるぶんには、まあカワイイなと思わないでもない。

飛ばなければ良いのである。飛ばなければ。

そんでこっちに向かってこなければ。

 

 

体長1センチ程度の黒い小グモは、講義とかお構いなしにチョコマカ走り回る。

なんか詩を思い出した。「てふてふが一匹 韃靼海峡を渡って行った」てやつ。

でもこれたぶん三好達治の「蟻が蝶の羽をひいていく…」と混ざってそうだしそもそも何ひとつ関係ない。

節足動物が地面歩いてる所しか共通点ないし。

韃靼海峡の詩は誰のだっけ? と思って何とか自力で思い出そうとしたけど無理だった。講義に思考を邪魔された。よくない学生だ。

 

 

韃靼海峡は「だったんかいきょう」って読むんだよね。だったん、の語感が好きだからずっと覚えている。

どこで初めて読んだんだ……と考えてみたけど、確かちびまる子ちゃんの満点教室シリーズじゃなかったかな。

またここでこないだの訃報を思い出してシュンとなる。

 

ニュースキャスター、ちびまる子ちゃんのこと「昭和のあったかい家族の風景が描かれていて……」なんて言ってたけど、あんなのは嘘っぱちじゃないかと思う。

確かに団らんのシーンとかはあったかい(ひとり暮らしなのでそこは余計そう思う)けど、ひきょうだの、火事だの、いじめだの、そういうやつのどこら辺に温度があるのか。

ちびまる子ちゃんはむしろそういうものに対してすごくドライで、特に初期なんかは子どもなりの打算的な考え方や残酷さや失敗をそのまんま書いていて、芸人さんのようにそれを笑っていいよ、と言っていた作品なんじゃないかと思うわけで。

まあ今はそれもどうでもいい話。

実はコジコジの方が好きだったかもしれない。

 

 

クモは相変わらず机の裏に入ったり表に出てきたりを繰り返していた。

何か探しているのだろうか。どこかに飛び移るでも、床に降りるでもなくずっと行ったり来たり。

そのうち裏に入ったまま姿が見えなくなった。

その瞬間、床に置いたままの自分のカバンが心配になる私。

床を伝ってカバンにくっついて来たらどうしよう。それよりも私の靴に上がってきて脚にまとわりつきでもしたら。虫やクモやらが足元にいる可能性を考えると、必ずそんな想像をしては恐怖心を強めていくのが悪癖だ。

 

講義を終えて席を立った。

念入りにカバンと体をチェックしたが、クモくんは居ないようだったのでほっと一息。

ついつい友人と長話して食堂のご飯を食べ忘れ、コンビニでサラダとペペロンチーノを買って帰った。

 

 

 

家に帰って買ってきたペペロンチーノをレンチンしたり他のものを冷蔵庫に入れたりしたあと、フタを開けていざ食べるとなって、韃靼海峡の詩の作者が気になった。

調べる。安西冬衛さん。

そういやあのバスケ漫画読んだことないなと思った。